「君の名は。」に感じる良さと不安

君の名は。」を観た。

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新海誠だった。彼が好きなものが画面と時間いっぱいに詰め込まれていた。軽蔑も恐れず言うと僕は好きです。

この増田にあるように、ストーリーや設定は深掘りに耐えられるほどではないけど、自分が心の奥底に持ち育ててきた「青さ」を刺激するには十分だった。

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秒速5センチメートル」は少し攻撃力が高いし、「星を追う子ども」はストーリーが意味不明すぎる、「言の葉の庭」はエンターテイメント性が足りない、みたいに思う人にぶつけてやりたい。

 

結局は、「琴線に触れる」のだ。

彼女と僕だけのセカイ、自分なら救えるんじゃないかという肥大した自意識、鬱屈しながらも美しい日常、SFからくるロマン。この文字列にピンときたらもうチケットを買うべき。

 

新海誠に触れる時は、こっ恥ずかしいで済まないほどの胸を締め付ける青さを期待しませんか?だからこそ「秒速5センチメートル」は中毒性があった。辛いのに、深夜に観るべきではないのに目をかけてしまう。痛気持ちいいの類なのかな。村上春樹をあまり知らないけど、似たような感じなのだろうか。いい大人がいつまで経ってもこんなものをつくり続けることに、僕は「すげえな」って思う。見方によったら「論理とかいいからこの感情を見ろ!」って言ってるようにも思えて。シンゴジラが相当面白かったけどシンゴジラ精神モードで「君の名は。」を観ると心が大変なので気をつけてほしい。シンゴジラは感情部分を過剰なほど書かず、それやリアリズムが爽快感を演出していたけど、「君の名は。」は逆。感情を見て!って感じ。女子高生を制服で山道走らせてるのどう!?みたいな感じもある。「あの花」でお馴染み田中将賀キャラクターデザインでドラマに没入しやすくし、RADWIMPSもかけるんだよ?そのあたりズルいし抵抗したくなるけどまんまと良い…。

 

君の名は。」は今までの新海誠作品をギュッと詰め込んだようなものになっている。そしてエンターテイメントでもある。初めに新海誠作品を見る人にはこれをオススメしたい。でも、不安に思うことが1つある。それは、もうこれが最後なんじゃないかってこと。セルフオマージュがいっぱいで今までの総括のような状態。スターシステムで過去のキャラクターも出てくる。新しい要素はあまりなく、適度なカタルシスのエンドに持ってこれた構成脚本くらいか。もうこれが引き出しの限界なんじゃないのって思えた。それでも同じようなものをつくり続けてもいいし需要はありそうだけど、つくり続けるのかなぁ。3年に一度くらい、高校生カップルとセカイ系原住民に攻撃を加えるのでもいいけど。

 

とりあえず高校生になって気になる子と新宿でこの映画を観るので一旦死にます。