2018年3月の短歌〜幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった〜

こんにちは。毎日短歌を書くことをつづけています。えらいんです。

それでは早速いきましょう。

 

2018年3月1日〜3月31日

 

合法でワンダフルなナイトだぜ木魚を並べて爆破をするぜ

 

オレンジを半分に切り押し付けて搾るように涙が溢れる

 

バファリンを実験マウスに投与する研究員の母親が風邪

 

星が降ることをあなたはよろこんで月が降ったらかなしむだろう

 

帰るねと言って地下鉄入口へこれには地底人もおどろき

 

通勤の電車で見えた同僚の右肩にある人間スイッチ

 

トラックが突っ込むように衝撃でありふれている愛の告白

 

リクルートスーツを何度脱いだってリクルートスーツみたいな僕だ

 

ガスの花咲かせて走るディーゼル車 わたしの薔薇とどちらが黒い

 

真夜中に酔ってあの子に電話した OK Google 僕を許して

 

ガード下 スクール水着 烏龍茶 長い髪の毛 冷凍食品

 

8と13と32と101 余った季節の数を抱きしめ

 

尖りあう満員電車のなか僕が一番上手くおかゆを作れる

 

同じ語の検索をしてふと気づく 彼女は画像で僕はテキスト

 

くるりの新曲が良いねと話すため出会いサイトに登録をした

 

重ねても使わないまま消えていくポイントカードをお持ちですか?

 

ゴミ袋抱えて出ても仲間無く 僕らゴミだけ遅れてしまった

 

残り雪を見るたびつける靴底 白く汚れたセーブポイント

 

蛇口から涙が出るようになったら合流するからわからないよね

 

酔っ払いが最終電車の吊り革にからだを預けるポールダンス

 

手を洗うだけなのにまた袖が濡れ彼女の頬を思い出してる

 

カラスが僕だけに鳴いているようで朝日は僕にこそ鳴いている

 

ハッシュタグ「#孤独な人と繋がりたい」写真で上げる発泡酒と火

 

桜の木を宙に浮かべ引っ張り出す どこにも死体などはなかった

 

試しにさ夜を止めればいいんじゃない?そう言い君は蛹になった

 

夏の日に走り叫んだ君の肩 ことばと汗と涙を流す

 

白昼夢ミモザの花を食べている君の香りを少し残して

 

幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった

 

水滴がガラスに流れ交じり合う雨が止むまでひとつになるまで

 

問12 任意の方法を使って動く点Pを幸せにしろ

 

春風と夜の空気が溶け脱がす心を丸く覆ったタイツ

 

よそいきのピンクに染まった公園の可愛いすっぴん僕は知ってる

 

 

以上。

色々実験しながら書いている。嘘も本当も入り混ぜて、表現も文体も揺らしている。粗い感情の素子を、ふるいにかけるように揺らしている。4月も言葉を熱したり分解したりしながら、好みに自然と近づいていけたらと思う。いわゆる作家性というやつなのだろうか。そんなたいそうなものでも人でもないけれど。

3月は外にも目を向け始めた。意外と身近な人が短歌のzineを出していたり、「新鋭短歌」を見つけたり。向上ってだけではなく、短歌を考えるヒントとしてとても助かっている。僕が短歌を考えるのって、移動で抜ける公園や通勤中の電車であることが多くて、題材が偏りがち。お題をもらうように他の人の短歌から言葉を拾えばずっとかける気がする。

幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった

今の気分と出来でタイトルにこの歌を選んだ。僕は2年前くらいから自分を幸福にするにはどうすべきかってことを考えていて、まだ少ししかわかってないけど、ちょっとずつがんばっている。生活が苦手だしそれでもいいやと思っている時期がつづいていて。でもこれからも日々はつづくし終わらせることも怖い。もしかするとあと50年くらい生活をするかもしれない。染みついた厭世的な態度を漂白し、希望に満ちる日々に仕上げるために自分を幸せにする活動をしている。「幸せになってもいいんだよ!」ってたまに言ってあげないといけないタイプみたい。何の祝いでもないのに美味しいごはんを食べたりとかね。

 

というわけで今年もありがとう3月。また来てね。

4月はよろしくどうぞ。

 

短歌は毎日ここで発表しています。未公表のものもたまに読めるので支援してもらえると嬉しいです。

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りりかちゃんがひたすらに可愛い。