2018年3月の短歌〜幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった〜

こんにちは。毎日短歌を書くことをつづけています。えらいんです。

それでは早速いきましょう。

 

2018年3月1日〜3月31日

 

合法でワンダフルなナイトだぜ木魚を並べて爆破をするぜ

 

オレンジを半分に切り押し付けて搾るように涙が溢れる

 

バファリンを実験マウスに投与する研究員の母親が風邪

 

星が降ることをあなたはよろこんで月が降ったらかなしむだろう

 

帰るねと言って地下鉄入口へこれには地底人もおどろき

 

通勤の電車で見えた同僚の右肩にある人間スイッチ

 

トラックが突っ込むように衝撃でありふれている愛の告白

 

リクルートスーツを何度脱いだってリクルートスーツみたいな僕だ

 

ガスの花咲かせて走るディーゼル車 わたしの薔薇とどちらが黒い

 

真夜中に酔ってあの子に電話した OK Google 僕を許して

 

ガード下 スクール水着 烏龍茶 長い髪の毛 冷凍食品

 

8と13と32と101 余った季節の数を抱きしめ

 

尖りあう満員電車のなか僕が一番上手くおかゆを作れる

 

同じ語の検索をしてふと気づく 彼女は画像で僕はテキスト

 

くるりの新曲が良いねと話すため出会いサイトに登録をした

 

重ねても使わないまま消えていくポイントカードをお持ちですか?

 

ゴミ袋抱えて出ても仲間無く 僕らゴミだけ遅れてしまった

 

残り雪を見るたびつける靴底 白く汚れたセーブポイント

 

蛇口から涙が出るようになったら合流するからわからないよね

 

酔っ払いが最終電車の吊り革にからだを預けるポールダンス

 

手を洗うだけなのにまた袖が濡れ彼女の頬を思い出してる

 

カラスが僕だけに鳴いているようで朝日は僕にこそ鳴いている

 

ハッシュタグ「#孤独な人と繋がりたい」写真で上げる発泡酒と火

 

桜の木を宙に浮かべ引っ張り出す どこにも死体などはなかった

 

試しにさ夜を止めればいいんじゃない?そう言い君は蛹になった

 

夏の日に走り叫んだ君の肩 ことばと汗と涙を流す

 

白昼夢ミモザの花を食べている君の香りを少し残して

 

幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった

 

水滴がガラスに流れ交じり合う雨が止むまでひとつになるまで

 

問12 任意の方法を使って動く点Pを幸せにしろ

 

春風と夜の空気が溶け脱がす心を丸く覆ったタイツ

 

よそいきのピンクに染まった公園の可愛いすっぴん僕は知ってる

 

 

以上。

色々実験しながら書いている。嘘も本当も入り混ぜて、表現も文体も揺らしている。粗い感情の素子を、ふるいにかけるように揺らしている。4月も言葉を熱したり分解したりしながら、好みに自然と近づいていけたらと思う。いわゆる作家性というやつなのだろうか。そんなたいそうなものでも人でもないけれど。

3月は外にも目を向け始めた。意外と身近な人が短歌のzineを出していたり、「新鋭短歌」を見つけたり。向上ってだけではなく、短歌を考えるヒントとしてとても助かっている。僕が短歌を考えるのって、移動で抜ける公園や通勤中の電車であることが多くて、題材が偏りがち。お題をもらうように他の人の短歌から言葉を拾えばずっとかける気がする。

幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった

今の気分と出来でタイトルにこの歌を選んだ。僕は2年前くらいから自分を幸福にするにはどうすべきかってことを考えていて、まだ少ししかわかってないけど、ちょっとずつがんばっている。生活が苦手だしそれでもいいやと思っている時期がつづいていて。でもこれからも日々はつづくし終わらせることも怖い。もしかするとあと50年くらい生活をするかもしれない。染みついた厭世的な態度を漂白し、希望に満ちる日々に仕上げるために自分を幸せにする活動をしている。「幸せになってもいいんだよ!」ってたまに言ってあげないといけないタイプみたい。何の祝いでもないのに美味しいごはんを食べたりとかね。

 

というわけで今年もありがとう3月。また来てね。

4月はよろしくどうぞ。

 

短歌は毎日ここで発表しています。未公表のものもたまに読めるので支援してもらえると嬉しいです。

https://www.patreon.com/jitsuzon/

 

りりかちゃんがひたすらに可愛い。

 

会社で短歌を展示した&2018年2月の短歌

自分が働いている会社でのこと。社内のクリエイターが自身の作品を業務後に展示するイベントがあった。なんて素敵なイベントなのだろう。イラストやゲーム、自作キーボード、アクセサリー、ゲーム、バンド演奏、詩、多種多様なものづくりが揃った。なにかをつくるのが好きな人が社にはいっぱいいて、誇らしい気持ちだった。

僕はタイトルの通り、2月の途中から1日1首ずつ書き溜めていた短歌をこの機会に発表した。印刷して壁に貼るというシンプルなものだ。ついでに自分が書いた中で好きな増田(はてな匿名ダイアリー)を印刷して貼った。

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ときおり人が足を止めて、前傾して見てくれる。僕は恥ずかしくて見ていられなかった。柱の向かいにあるガラス張りの会議室から、止まる靴だけを横目に見ていた。

あとから何人かの尊敬する人に褒めてもらい、日曜の23時に感じるような鬱屈した心が昇華されたような気がした。短歌を書くだけで満足していたけれど、誰かに触れることで初めて昇華されるのかもと思えた。言葉に込めた気持ちが微炭酸の気泡のように、じんわりと上っていった。

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増田をA3でカラー印刷するなんて今後一生無いかもしれない。

 

実はシンプルに短歌を貼る前は、ちょっと変わったことをしようとしていた。直近で見たアート方面の刺激をもろに受け、一捻り加えようと画策していた。それがこれ。

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カスタマージャーニーマップみたいにして短歌を設置するもの。時系列に沿って感情の移ろいを示そうとしたのだ。単純に短歌を並べるだけだと、せっかく毎日書いていて人生の連続感があるのに、それが表現されずもったいないと思っていた。そこで身体性を獲得するために時間を意識した並びにし、人間性を獲得するために、感情をもう1つの軸に取るのはどうかと考えた。そしてこのフォーマットってソフトウェア開発でよく使うカスタマージャーニーマップじゃん!と気づいたのだ。カスタマージャーニーマップとは顧客がサービスを使う体験全体を整理するために使うものだ。ただ感情については付箋1枚に「買えて嬉しい」とか大雑把なことを書くか、ただのグラフにして示す程度だ。そこでもし、顧客のことを短歌くらい情緒豊かに捉えられたら?ほんとうは捉えるべきでは?という批評性のあるものにもなりえた。

など、知的に興奮しながらプロトタイプをつくってみたものの、大事な言葉がすごく散ってしまってつらかったのでやめた。写真はプロトタイプ。結局、真っ白な紙の上に、十分な行間を持って縦に言葉を並べるだけで、あの空間は満ち満ちているのだと思い知った。欲張りな小細工ではとてもじゃないけどA4コピー用紙に印刷された5行の短歌にすら勝てないよ。

というわけで、2月の短歌をまとめて置いておきます。

 

2018年2月の短歌

 

前髪を重く瞼に乗せたままかき上げないで夜を見ている


目の前の男の人にファスナーが開いていますと今日も言えない


恐竜のような声上げ中央線 僕の前には止まらず過ぎる


GPSが壊れたように僕はまだ彼女の家で昼寝している


僕たちだけの挨拶をして遭う夜 コンクリートが上から溶ける

 

誰からも見えない場所を探してる渋谷の夜とこの駅の朝

 

炭酸が抜けてしまってもまだ好きと僕に言ってくれないだろうか

 

アパートの真上で人が死ぬように真下の僕は生きているのだ

 

大勢でモンスターを殴る切るし皮を剥いで夜空に浮かべる

 

透き通るモブ波の群れ目が回り瞼の裏の虫を見つめる

 

教室の後ろのおまけ黒板がインターネットのはじまりだったら

 

おじさんが描く女子高生たちは絶対LINEで喧嘩できない

 

冬の夜 駅を刻めば刻むほどコマ撮りになる僕はなめらか

 

耐えるんだ幸せなんかに負けんなよほんとはもっと暗いはずだろ

 

悩んだり相談したりした末に誕生祝いに苺を贈った

 

今になって雪を探して見つからない消えてしまうのはすべて雪

 

風に舞うホームページを追いかけて君が育てたトマトを見つける

 

目立つ位置に心をつけているのに今日も誰も触れてはくれない

 

「おなかに赤ちゃんがいます」大声で叫ぶ男のおなかに居るもの

 

春が来る前には君を殺さなきゃあるいは僕を抱いてあげなきゃ

 

エンターキーを気持ちよく押すために長い助走があるのかもしれない

 

たぶん許してはくれないと思うが僕はあなたのガムが食べたい

 

この街で僕らが一番楽しいと本気で思える夜は数ミリ

 

日曜の家族が集う公園で音量上げるナンバーガール

 

うずくまり泣いてる女性を乗せながら終着駅に着いてしまった

 

冬と冬と冬とわずかな春とが君のコートを奪い合ってる

 

 

以上。

Patreonで支援してくれたかた限定で先行して短歌をお届けしています。

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3月も飽きずにやっていきましょう。

 

 

 

ウェブエキスパートドラフトに参加しました

結果からいきましょう。

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希望年収欄に600万円と記入したところ、だいたい600万円で指名が入りました。 指名獲得数は参加者中最多で、1位指名(1企業1人にだけ出すことができるやつ)の数は4件でした。

よかったですね。

このエントリで書くこと

ご挨拶が遅れました。こんにちは。 @jitsuzonです。

転職ドラフト」のディレクター、プロダクトマネージャー、マーケター版である「ウェブエキスパートドラフト」(運営会社はどちらもリブセンス)第1回に参加したので、結果や感じたことをまとめておこうと思います。

webexpert-draft.jp

全体の結果はこんな感じで載っていて、掘っていくとどんな経歴の人がどんな企業から指名入っているかなどわかるので、くわしくはサイトからご確認ください。

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なんで参加したか

自分の市場価値を知りたかった、というのが一番です。 年収がいくらになるのかって応募と面接を経て最後にしかわからなかったりします。 正確でなくてもいいので、労働市場的に自分はどのくらいの実力と見積もられるのか知りたかった。 全体でどの程度なのか、どの点が評価されるのか、調べたことがなかったのでやってみました。

直近のお仕事がやりがいあって会社に大きな不満も無いので、 転職メインという感じではなく申し訳なさがありましたが。。 もちろん、総合的に良いお話には乗っかっていく気持ちはありました。

結果

数値に関しては、冒頭に貼ったとおりです。 とても多くの会社にご指名いただき、本当にありがとうございます。 公私共にこんなにモテたことないのでかなり戸惑いつつ興奮しました。

自分の状況的に近々の転職はむずかしいなと思い、一度すべて辞退させていただきましたが、何社さんかは会ってお話する機会をいただきました。ありがとうございました。

どのあたりが評価されたか

  • KPIを伸ばした実績
  • ユーザーファーストかつ分析的にプロダクトつくりができる
  • ステークホルダーの調整ができる
  • 中規模事業も新規事業も経験している
  • 組織マネジメントもできそう
  • ブログとかで言語化できているところ
  • インターネットが好きなこと

コメントいただいた中で共通しているのはこのあたりです。 「インターネット良くしていきたい」と書いたら共感してもらえたの嬉しかった。

感想

単純に嬉しい

こんなにも指名が入るなんて。名指しで評価されるのは嬉しいですね。 各社さんレジュメだけでなくブログや発表資料も読んでくださってありがたいです。

アウトプット大事

ディレクターやマーケター、プロダクトマネージャーは、Webでのアウトプットはエンジニアに比べて少ないです。

ただ、誰かに理解してほしいなら言語化する以外方法がありません。 もちろんレジュメで伝えるんだけど、経歴の話しが多く、汎用的な話や時間の都合上省かれる話がある。

僕の場合、ブログや勉強会で発表したりしているので、それを見てもらえました。 アウトプットすること自体を、言語化・抽象化する能力があると評価してもらえたりもしました。

普段はアウトプットを自分のふりかえりや備忘録、考えを抽象化する訓練、誰かの役に立つこと、フィードバックを得ることを目的にやっていたけど、転職に活きる良さをわかりやすく認識しました。

リーズナブルと思ってもらえた

買い叩かれてるみたいな意味じゃないです。現職よりは高いしこのくらいだろうと雑に希望年収を600万円としました。それで多くの指名をいただいたので、次回参加するならもう少し高くしてもいいだろうなと思いました。それにしても希望年収を超える指名って来ないものなんですね。

結果について人と話す機会があったんですけど、提示年収が高い人はすでに完成されてたり強い専門領域持ってたりする、jitsuzonの場合は原石として良いって感じだよ、と言われ「なるほど」となりました。

実力の評価としては十分じゃない

今回のドラフトに参加していないプロダクトマネージャーの人もいっぱいいるし、プロダクトマネージャーの広い職域の中のほんの一部しか伝えられていないので。 もちろん浮かれて調子に乗ることもダメ。まだまだなところがいっぱいあるので気を引き締めていきます。

参加者の書いていることを見れるのが良い

レジュメを公開している人もいるし、高く評価されてる人のスキルや書いていることを見て参考にできます。良いこと書いてるな〜〜〜とふむふむすることがある。

レジュメ書くのそこそこ大変

がっつり書こうと思うと数時間かかります。僕は2日にわけてちょろちょろ書きました。考えがまとまるし、今後も職務経歴伝えるときに使えるなと思ったので良い行為でした。あと伝わりやすさやアピール上、自分の成果っぽく書くんですけど、実際はチームのみんなで達成したものなので申し訳なさがあった。

これからどうしたいか

サイトで入力する項目の1つ「直近、具体的にしたい仕事」には以下のように答えました。

 ## インターネットを良くするプロダクトに関わりたい 
インターネットが大好きなので、
インターネットの進化や文化に大きく関わるようなプロダクトに関わりたいです。
インターネットに恩返しをしたいという想いがずっとあります。
今はプロダクトマネジメントをして貢献できるといいなと思っています。 

## プロダクトマネジメント力を高めたい 
### 「 他のプロダクトマネージャーと一緒に働く」
 今の環境にはプロダクトマネージャーが多くないので、
直接的に参考にできる人や情報が少ない状態です。
他のプロダクトマネージャーとともに、
知見の共有や切磋琢磨をして力を高めたいなと思っています。 

### 「複数のプロダクトを担当する」
 マネジメントするプロダクトを増やして、知見の横展開を自分でできるようになりたいです。 
同じプロダクトで同じフェーズを何度もやることはできないので、
複数プロダクトで反復、改善を行えるといいなとは思っています。
やはりプロダクトマネジメントはシチュエーショナルなものなので、
経験がものをいうところがあります。その経験の絶対量を増やしたいなと思います。

「複数のプロダクト」というところ

来年からフレックスになって時間に融通が効くし、どこかお手伝いできるところを探してみようかなと思います。それも今のプロジェクトが落ち着いてからで。

アウトプットを増やす

加えてこちらもやりましょう。まだまだ少ないのでがんばりましょう。

またドラフトに参加する

1回だとわかりきらないし、自分のふりかえりになるので。転職意向が無くてもそれを伝える項目があるからとりあえず出してみましょう。損することないのでみなさんにもおすすめです。紹介したらスタバの3,000円券とかもらえるらしいので、そういうことでお願いします。

それではよいお年を。

プロダクトマネージャーが意識的にデザイン思考を取り入れると

この記事はProduct Manager #pdmAC Advent Calendar 2017の13日目の記事として書かれました。前回の記事はwatcafeさんのプロダクトマネージャー、組織というプロダクトとも向き合うでした。

こんにちは。GMOペパボ株式会社でプロダクトマネジメントをしています @jitsuzon です。

本エントリでは、PMの自分が取り入れたデザイン思考の使い方を、分析的思考との違いを交えながら書いていきます。 基本的には備忘録ですが「デザイン思考、よく聞くけど一体何なの?どう取り入れているの?」という方や、「なかなか企画が決まらないんだけど、どうすればいいんだ」という方のヒントになれば嬉しいです。

「デザイン思考」って?

各所で説明がされていますが、こちらでも簡単に書いておきます。ざっくりと言えば以下のような思考法です。

  • ユーザーを中心に物事を考える
  • 実践的な問題解決を主眼に置く
  • ユーザー調査やプロトタイピングを繰り返す

ウェブサービスの改善のように、複雑なものが絡み合うものに対して、適切な処方をするのは簡単ではありません。どこに手をつけるか、何をどうやるか、たくさんのステークホルダーの利害をどう調整するかなど、考慮すべきことは山のようにあり、それぞれに明確な答えが無いことがしばしばです。

デザイン思考では、ユーザーを中心に考え、アイデアを高速で形にして改善を繰り返していくことで、問題のより良い解決に素早く近づいていきます。

https://u-site.jp/wp-content/uploads/2016/11/designthinking_illustration_final-01-01-780x789@2x.png (参照:デザイン思考の基礎 – U-Site

対となる思考は?

分析的思考や、戦略思考が対として語られます。2つはまったく同じものというわけではないのですが、面倒なので特徴をまとめて書いておきます。

  • 様々な目線から多角的に物事を考える
  • 論理的に因果関係や相関関係を推測する
  • 時間の経過や状況の変化など考えるべきスパンが長め

こちらも問題解決をしたいことに変わりはありません。 ウェブサービスの一機能のように、すぐフィードバックが得られるわけではない長期スパンのものや、 実際に試すより早く正確そうな因果関係がわかる、という場合はこちらの思考を使うのがいいでしょう。

私はこう使った

私はベースの思考がずっと分析的でした。 答えがちゃんと出ないものに対して、考えたりデータを増やせばきっと論理的に解が出るはずだと数時間考えて成果ゼロ、みたいなこともありました。 これは単に自分の頭が良くないのもあるのですが、そもそも取り組むものによって向き不向きがあることに気づきました。 デザイン思考について知ってやっとわかったので、もっと早く知ってたらよかった!と思いました。

デザイン思考が得意なこと

以下にあげるようなPMの仕事はデザイン思考が得意な分野だと思います。

それぞれ、「相手が明確」な場合です。ニーズを考え、そこに対してできることを最速で投入する。考える対象が少ない分、行動を早く起こせます。もちろん慎重にやるべきことはありますが。

特に施策の企画、実施案の決定は、デザインスプリントというワークショップが便利です。1つの決定に必要なワークショップがいっぱい入っていて、かいつまんでもできます。型が決まっているというだけで、どうやるかを考える手間が省けることが最大のメリットかもしれません。 弊社では部署横断のデザインチームがファシリテーションをしたり、新卒研修にも取り入れたりなど、経験する機会がだいぶ増えています。

その他でも上記で詰まったな、ということがあったら、

状況の整理→課題(ストーリー)の定義→ブレスト→アイデアスケッチ→実践or壁打ち(ヒトと話す)

を時間制限つけておこなって、だらだら悩む時間を減らすことにトライしています。デザイン思考では収束と発散を繰り返すため、メリハリをつけるのが大事だと思いました。 完全にこれに沿わなくても、気になったことはとりあえず紙にバーッと書いてみる、という癖がついてから施策の一歩目が早くなりました。 タスクをやる時間よりもやろうかなどうしようかなって考える時間が長くなる悪癖があったのですが、今はだいぶ減らせたと思います。

分析・戦略思考が得意なこと

対になるのでこちらも書いておきます。

  • 定量数値の分析
  • ロードマップ作成
  • 予算作成
  • 中期KPI改善計画

数値の分析やロードマップ作成はそのまま戦略的なことでそれはそうだろうという感じです。 こちらはコンサル系でよく使われるフレームワーク(PEST・3C・STPなど)で環境分析や基本戦略を立てます。

予算やKPI改善計画については、分析思考として、論理的な分析を行います。 マインドマップツールを使ってロジックツリーを作成するなど、変数を構造的に把握し、対処できるようにします。 これら検証に時間がかかるものは論理的に考え精度を上げていくことが重要です。

どちらも大事

私は「正しい製品をつくる」ということがPMの役割だと思っています。ユーザーにも会社にも社会にも「正しい」価値を提供するものをマネジメントすることが使命です。 その中で、私の中にいつもある問いが「より良い決定をより早くするにはどうするか」です。デザイン思考を知った上で、分析思考との意識的な切替はとても役に立っています。

これからも引き続き、日々の課題をより効率的にクリアしていくこと、戦略を自分より上のレイヤーだけに任せずに自分からも積極的に提案していくことの両方を大事にします。

速度も精度も上がるように日々訓練! がんばるぞ!

参考にしたもの

デザイン思考と戦略思考はどう違うのか? ~コンサルタントから見たそれぞれの役割・位置付け~ – Hajime Tanabe – Medium

新たな発想をビジネスへ繋げるデザイン思考(Design Thinking)|これからは、コレ!|ITソリューション&サービスならコベルコシステム

デザイン思考 - Wikipedia

定期を失くした

先週の土曜、僕は会社の人間と吉祥寺で飲んでいた。正午から日が変わったあとまで。結局何時間飲んだかわからない。どうも最後がいつかわからないのだ。久しぶりに吐くまで飲んだ。何かしら迷惑をかけた気がするけど、それすら覚えていない。毎度こうなると、申し訳無さ以上に恥ずかしく、結構深めの穴に入って、「公務なんで」みたいな意味は分からないがもっともそうな理由をつけて2週間くらい桃鉄をやりたくなる。関係各位、ご気分を悪くされていましたら誠意を見せますのでWebフォームからご連絡ください。

深酒した時にかぎって、なぜかちゃんと帰れてるし風呂まで入ってたりする。朝も7時くらいに目が覚めたりする。今回も身体こそなかなか起きないものの、うっすらとした、知らせで言うと注意報くらいの二日酔いで済んでいたようだった。「だる〜」と独り言を外と室温の変わらない部屋に放ち、しばらく寝続けた。飯を食べないとそのうち手足が痺れてくるので、バレンタインの周辺でいただいた義理を食べる。食べられる義理と食べられない義理があり、季節柄食べられる義理が部屋に存在していたのだ。シャワーを浴び、平静を装って、街へ出ることにした。散歩程度で大したことはしていない。途中とてつもなく炭酸飲料が飲みたくなった。飲みたくなりますか?「ドデカミンC」みたいな名前も見た目も味もバカな飲料を買って飲み、クゥ〜〜〜した。悲劇はそのあとで、家に戻りカバンから物を取り出そうとすると激烈に濡れていたのだ。淡黄色に、人工的な甘い香りをブチまけており、ドデカミンが流出していた。慌ててタオルやティッシュを動員したのだが、ヌメ革の財布の様が悲惨だった。世界一甘いイルビゾンテだったと思う。いくつか入っていた紙幣も溺れかけていて、全員を救助した。軽く拭き取り、どうしようかと一瞬考えた結果、僕は紙幣をドライヤーで乾かすことにした。混乱のど真ん中にいた僕も、このはじめてで、罪悪感が伴う行為にワクワクした。家に戻り15分程度、僕はまだコートを脱いでいない。「ゴーーー」と音を立て熱風を福沢に送る、すごく熱くなる。届いてるか、英世。見えてるかい、「TURBO」だぜ。今まで使ったことない辺縁系皮質から恍惚感を伴う物質が出てくる。みなさんもお気に入りの紙幣を濡らしてみましょう!結局3枚くらいで飽きて、残りは吹いてから床に並べて放置した。ファブリーズをかけた。

そして今朝、僕は何事も無く健康に出社した。1ヶ月の定期が土曜に切れるとわかっていたので、家を出てからまっすぐ駅の券売機に向かった。まだ若干水跡が残る財布から定期を出そうとすると、無い。いつも入れていたカード入れの横の空間に、無い。マイナンバーカードはある。キャッシュカードもクレジットカードもある。だが定期が無い。どこかに落としたのだろうか。一昨日の壮絶な飲み会の空間のどこかか、家か、カバンか。いずれにせよ、朝のこの時間にゆっくり探す暇は無い。僕は新規で定期を発行した。デポジットをまた払う無駄へのいらだちと、前の定期に入った1,300円程度の惜しさに思考が逸れそうになったが、真っさらな印字がされたPASMOを受け取ってゲートを抜け、日常のループに突入した。

soundcloud.com

定期は、どこに行ったんだろうか。帰ってこないんだろうか。定期とは僕にとってなんだったんだろうか。デポジットの500円を払えばまた取り戻せるような、簡単な関係だったんだろうか。アイツと一緒になったのは、僕が上京してきた時だ。かれこれ4年になる。当時の僕は大阪でICOCAってヤツと付き合っていて、東京で新たな生活とともに、PASMOを迎え入れた。今思うと、ずっと一緒にいたんだなぁ。よく終電近くまで付き合わせていて、アイツがいるのに終電を逃してタクシーに乗ったこともあった。「私がいるのに」ってアイツは思っていただろうか。今回の深酒なんて電車にすら乗らないのに僕は朝まで飲んで、アイツのことなんて考えていなかった。現金を切らした時に自販機やコンビニで登場してくれて「ありがとう」と言ったことはあったけれど、それはなんていうか、感謝ではなく、「便利に使っている」というだけだった。どこに行くにも一緒だったのに、「ただいま」も「おかえり」も言ったことはなかった。今アイツは待っていてくれるのだろうか。財布を持ち出すたびに印字がかすれて、たとえば磨くとか、アイツが綺麗になることをしてやれなかった。いつも1ヶ月の定期で、全然贅沢をさせてやれなかった。いつか、1回でもいいから、半年の定期にしようと思っていたんだ。本当だよ。でも、もう叶わないのだろうな。今は別のヤツに拾われて、少し余っていた1,300いくらのお金を使われてしまっただろうか。それで捨てられてしまってないだろうか。アイツには1,300いくら以上の価値があるんだ、僕は知っている。他のヤツには消え入りそうな文字の、どこから来てどこまで行くのかわからない、ただの硬いカードかもしれない。だけど僕にとっては、大切な1枚なんだ。僕らの思い出がたくさん記録されている。全部じゃないが僕も記憶している。大阪でもお前が使えた時は嬉しかったよ。僕が持ついくらかの磁気はアイツのものなんだ。同時にアイツが持ついくらかの磁気は僕のものだ。アイツの声だけ見分けがつく。僕にはただの「ピッ」じゃなかった。そんなことばかり考えるけど、もうアイツにチャージできない、という事実だけが僕を締め付ける。これから僕はアイツがいない朝を、夜を、何度もくぐり抜けないといけない。毎日は続いていくけれど、駅員さんに会った時は欠かさず尋ねるようにしよう、アイツの居場所を。僕にできるわずかなことを、精一杯やっていこう。

チームの良さを確認するためにやったこと

この記事はProduct Manager Advent Calendar 2016の7日目の記事として書かれました。6日目の記事はgackyさんのおじさん Product Manager サバイバルガイドでした。

はじめまして。GMOペパボ株式会社でディレクターとして働いています。@jitsuzon です。弊社ペパボには「プロダクトマネージャー」という名称の職位や役職は存在しないため、自称プロダクトマネージャーとして、サービスのあれやこれやに関わっています。自称に至った経緯はこちらのスライドをご参考ください。

いきなりですが、みなさんのチームは「良いチーム」でしょうか?どこが良いのでしょう?どのくらい良いのでしょう?

この記事では、それをアンケートを用いて定量的に確認する方法について実践を元にお伝えしていきます。最近話題にのぼってくることも多い「心理的安全性」なんかも登場します。

背景

私は所属するチームに対して非常に満足感を感じていて、他のメンバーとチームについて話していても「今の状況はすごく良いよね」となることが多いです。ですが、先ほどと同じ問いが私の頭にふと浮かびました。「良い」と漠然とわかっているけど、言葉や数字で表したことはなかった。

もしこれが測れ、客観的にわかるものであったら、チームの健康診断がしやすいし、処方箋も出せる。また、自分のチームの良いところを自認して、さらに強みを高めることができる。良いところを他のチームに輸出することもできるでしょう。

手探りながらやってみようと思いました。

まず理想のチームとはなんだろう?

アンケートをしようかなと思っていたものの、いきなり設問をつくることはできません。まず前提となる理想や知識を整理することからはじめました。

良いチームを定義する

参考文献や経験などから自分で決めました。自身がマネジメントするチームの目標というイメージです。

  • 自律的な行動(適切な行動ができる)
  • 自律的な学習(常に能力を高めることができる)
  • 変化に柔軟に対応できる(環境に適応しやすい)
  • 十分な裁量(行動の幅が広い)
  • 持続性が高い(拡大できる、いっときで終わらない)

理想には前提がある

いきなり飛び級で理想の状態にはいけません。少なくとも前提が存在します。

  • 心理的安全
  • 信頼
  • 定義されたゴール

これらは特に、Googleのre:Workのこちらの記事を参考にしています。

rework.withgoogle.com

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上記の図がこのあとのベースになっています。心理的安全性が最も基礎的なものであり、下に行くほど上位なものになっていき、一番下は「仕事の影響の大きさ」となります。その他の参考文献は記事の一番下にまとめています。

アンケートを作成する

実際に計っていくために、アンケートを作成しました。使用したのはGoogleフォームです(なんでもいいと思います)。カテゴリ毎に設問を準備し、スコアを出せるよう5段階評価をします。

カテゴリ

先ほどのre:Workの図やその他の参考物、自分が考える理想の状況を組み合わせて以下のようにわけました。

  1. 心理的安全
    • 不安なく仕事できるか
    • リスクをとることができるか
    • 弱さを見せられるか
  2. 信頼性
    • 相手のことを信頼できるか
    • ちゃんと仕事をやってくれるか
    • 尊敬されていると感じるか
  3. ゴールや役割の明確さ
    • やるべきことがわかっているか
    • チームの構造がわかっているか
    • 情報や仕組みの透明性はあるか
  4. 責任・裁量
    • 仕事を行う上で十分な裁量があるか
    • やりがいを感じる仕事であるか
    • 適度な責任感を持って仕事をできているか
  5. 学習
    • 知識やノウハウが組織に蓄積されているか
    • 学習に対する前向きな姿勢があるか
    • 省察がきちんと行われているか
  6. 仕事の意義・影響
    • 仕事が楽しいか
    • 自分の仕事が誰を幸せにするかわかっているか
    • 仕事を通じて自己実現や成長ができているか

学習というのが自律的な発展において重要な要素だと思っており、それを入れ込んでいます。

設問

先ほどのものはカテゴリであり、実際の設問は以下です。カテゴリをさらに分解して設問として落とし込んでいきました。

1. 心理的安全

  • チームのメンバーとコミュニケーションが取りやすい
  • 自分が失敗しても周りに伝えることができる
  • たとえ相手と異なっていても自分の意見を伝えることは難しくない
  • チームのメンバーから意見が異なっているという理由で人格的に否定されることはない
  • ときにはリスクをとる選択もできる
  • 助けてほしいときにお願いすることができる
  • わざと足を引っ張るような行為をする人はいない
  • このチームではあなたのスキルや才能が発揮できている

2. 信頼性

  • チームのメンバーは信頼できる
  • 自分はチームのメンバーから信頼されていると感じる
  • チームメンバーから謙虚さを感じる
  • チームの他メンバーは尊敬できる
  • チームのメンバーは適切に仕事を完遂してくれる
  • このチームなら困難な課題でも乗り越えることができると思う

3. ゴールや役割の明確さ

  • 自分はチームがどういう目標を達成すべきか理解している
  • 自分はチームがどういう価値をお客さま(社会)に提供すべきかを理解している
  • チームの目標と自分個人の目標が連携していると思う
  • 何か仕事をするときに目的を意識できている
  • チームの中で自分は何をすべきかを理解している
  • だいたいどのような仕事でもどういうプロセスで進めるかがイメージできる
  • 仕事を進める上で必要な情報は隠されていない
  • チームの構成やメンバーの職種を把握している
  • チームメンバーがどのような仕事をしているかがわかる

4. 責任・裁量

  • 今の仕事にやりがいを感じている
  • やっている仕事の責任は大きいと思う
  • 目標・目的を達成する際にはたくさんの手段から選択できる
  • 仕事を進める上で適切な裁量が与えられていると感じる

5. 学習

  • 仕事の結果やノウハウはチームで共有されている
  • 必要であれば積極的に勉強をする
  • 自分やチームの仕事についてふりかえる機会が十分にある

6. 仕事の意義・影響

  • 今の仕事は楽しい
  • 仕事で自分が成長していると感じる
  • 仕事で誰かを幸せにしている実感がある
  • 自分の仕事がどれくらいサービスに影響しているか把握している

7. 良いところの確認:わたしたちは何を大事にするのか

  • チームの良いところを10個挙げてください。

各カテゴリで設問数をある程度揃えたかったのですがバラバラになってしまいました。少なくとも3個以上はないとスコア出すときに平均値がブレてしまうでしょう。心理的安全性を確認する質問については、同じくre:Workですがこのページが参考になります。

回答

以下の5段階。スコアを出すために点数をつけます。スコアの付け方や適切な設問数、評価に十分なサンプル数については私自身よくわかっていないので、有識者さまお待ちしております。

  • とてもそう思う(5点)
  • そう思う(4点)
  • どちらでもない(3点)
  • そう思わない(2点)
  • まったくそう思わない(1点) 

これらを無記名投票で集めます。回答には10分もあれば十分です。

結果

これを私が所属している10名のチームで行いました。結果はこんな感じ。

f:id:jitsuzon:20161206213005p:plain

上で挙げた設問数と異なるのは改訂がこの後にあったからです。

わかること

心理的安全性や信頼性といったものは高く、チームとしての基礎体力の高さがうかがえます。反対に低いのは「仕事の意義・影響」で、まだそこが十分に高いというほどではなかったようです。今後の課題ですね。

ただ、これはあくまで同一チーム内でのカテゴリの比較です。もっと正確に状況を把握するには、他チームと比較してどうか、同じチームの3ヶ月前と比較してどうか、など対照が必要です。

実は弊社内でもまだ私のチームしか実施していないので他チームの結果待ちです。みなさんのチームでもご実施されたら共有していただけると嬉しいです。もし自分のチームが低かったらと思うと恐怖ではありますが。

これから

学習支援の仕組みづくりなど次への施策や、良いところを下がりにくい状況にすることを取り組んでいきます。後者に関してはすでにアクションを進めています。

設問の最後に「チームの良いところを10個挙げてください」というものがありました。それは、チームの良さを明文化して行動指針とするためです。会社でいう理念やミッションにあたります。チームが大切にすることを決めることで、良いところが認識されやすく風化して良さが損なわれるのを防ぐことができます。それの決定にまつわるあれこれについてもまた書きたいと思っています。

さいごに

チームの良いところと課題は、チームの数だけあるでしょう。今回の方法ではそれを見つける手助けになればいいなと思っています。無闇に探すよりも、いくぶん楽になるはずです。改良案などありましたらコメントいただけますと幸いです。

みなさま、良きチームを!

 

私が所属するGMOペパボのグーペでは、新しいメンバーを募集しています。ご興味ある方はぜひ一度お話しましょう〜!

www.wantedly.com

そして、来週13日(火)に弊社でウェブディレクター向け(といってもウェブサービス関わる方なら誰でも歓迎)のイベントを行います。こちらもぜひに。お待ちしております。私は司会をします。

peatix.com

 

参考記事・書籍

re:Work - Guide: Understand team effectiveness

Product Team Management // Speaker Deck

成功するチームの隠し味

開発組織マネジメントのコツ // Speaker Deck

チームが機能するとはどういうことか - Amazon

 

「君の名は。」に感じる良さと不安

君の名は。」を観た。

www.kiminona.com

新海誠だった。彼が好きなものが画面と時間いっぱいに詰め込まれていた。軽蔑も恐れず言うと僕は好きです。

この増田にあるように、ストーリーや設定は深掘りに耐えられるほどではないけど、自分が心の奥底に持ち育ててきた「青さ」を刺激するには十分だった。

anond.hatelabo.jp

秒速5センチメートル」は少し攻撃力が高いし、「星を追う子ども」はストーリーが意味不明すぎる、「言の葉の庭」はエンターテイメント性が足りない、みたいに思う人にぶつけてやりたい。

 

結局は、「琴線に触れる」のだ。

彼女と僕だけのセカイ、自分なら救えるんじゃないかという肥大した自意識、鬱屈しながらも美しい日常、SFからくるロマン。この文字列にピンときたらもうチケットを買うべき。

 

新海誠に触れる時は、こっ恥ずかしいで済まないほどの胸を締め付ける青さを期待しませんか?だからこそ「秒速5センチメートル」は中毒性があった。辛いのに、深夜に観るべきではないのに目をかけてしまう。痛気持ちいいの類なのかな。村上春樹をあまり知らないけど、似たような感じなのだろうか。いい大人がいつまで経ってもこんなものをつくり続けることに、僕は「すげえな」って思う。見方によったら「論理とかいいからこの感情を見ろ!」って言ってるようにも思えて。シンゴジラが相当面白かったけどシンゴジラ精神モードで「君の名は。」を観ると心が大変なので気をつけてほしい。シンゴジラは感情部分を過剰なほど書かず、それやリアリズムが爽快感を演出していたけど、「君の名は。」は逆。感情を見て!って感じ。女子高生を制服で山道走らせてるのどう!?みたいな感じもある。「あの花」でお馴染み田中将賀キャラクターデザインでドラマに没入しやすくし、RADWIMPSもかけるんだよ?そのあたりズルいし抵抗したくなるけどまんまと良い…。

 

君の名は。」は今までの新海誠作品をギュッと詰め込んだようなものになっている。そしてエンターテイメントでもある。初めに新海誠作品を見る人にはこれをオススメしたい。でも、不安に思うことが1つある。それは、もうこれが最後なんじゃないかってこと。セルフオマージュがいっぱいで今までの総括のような状態。スターシステムで過去のキャラクターも出てくる。新しい要素はあまりなく、適度なカタルシスのエンドに持ってこれた構成脚本くらいか。もうこれが引き出しの限界なんじゃないのって思えた。それでも同じようなものをつくり続けてもいいし需要はありそうだけど、つくり続けるのかなぁ。3年に一度くらい、高校生カップルとセカイ系原住民に攻撃を加えるのでもいいけど。

 

とりあえず高校生になって気になる子と新宿でこの映画を観るので一旦死にます。